
昔、ダイヤモンドは男の宝石だった!? キング・オブ・ジュエリーとなったのはいつごろ? いつの時代も人々を魅了する夢の宝石、ダイヤモンドの秘密に迫ります


今でこそ、ジュエリーショップで簡単に目にすることのできるダイヤモンドですが、大航海時代のはじまる16世紀ごろのヨーロッパでは、ダイヤモンドは貴族や王族の権威の象徴そのものでした。
18世紀になってブラジルで鉱山が見つかるまで、ダイヤモンドの産出はインドのみ。かつてダイヤモンドに熱狂したヨーロッパの王侯貴族たちは、全てインドからの輸入品、略奪品でした。その希少性と最も堅い物質としての価値が相まって、王侯貴族に留まらずローマ法王や大司教から珍重されたということです。

かつて、ダイヤモンドは多くの人を惑わし、虜にし、時に危険を及ぼすものとされてきました。主に身に付けるのが男性であったのも、そのためです。
女性で初めてダイヤモンドを身につけたのは、15世紀フランスの、アグネス・ソレルという貴婦人。彼女は、当時の国王の気を引くためにあちこちから集めたたくさんのダイヤモンドをネックレスに仕立てて、宮廷に乗り込んで行ったという逸話があります。女性がダイヤモンドをまとう、ということに、当時の人々は相当驚いたようです。
めでたく国王のハートを射止めることに成功したのは、ダイヤモンドのパワーかもしれません。
そして18世紀に入るころ、ベネチアでブリリアント・カットが開発されました。これによって、女性向けの宝飾品としてのダイヤモンドが広く知られるようになり、ついには宝石の王と呼ばれるまでになりました。

五千年の昔、インドのいくつかの原産地ではダイヤモンドは、細工道具や呪術の小道具として用いられていました。天然石であるダイヤモンドは、超自然的なパワーが他の一切の混じりけなしに凝集して生まれた石であり、ゆえに神が宿るとさえされてきたのです。
やがてダイヤモンドは権力や宗教の象徴となり、たとえば4世紀ごろのインドの国民的叙情詩『マハーバーラタ』には、守護石として大きなダイヤモンドを掲げる英雄の話が収められています。
呪われたホープダイヤモンドや、所有すれば世界征服ができると言われたコーイヌールなど、ダイヤモンドはその華やかさゆえに多くの悲劇や怪奇現象を産んできました。
しかし幸か不幸か、奈良時代以降、宝石を愛する文化を捨ててしまった日本においては、ダイヤモンドの魅力が受け入れられることはありませんでした。
現代のように、ダイヤモンドが誰にでも手に入れられるものになるとは、当時の誰もが思いもよらなかったでしょう。
参考文献:『宝石伝説』北出幸男著/青弓社
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